坪倉秀行が語る、利益より大切にしていること

数字だけを追いかけていた頃の話

株式会社ヴィクトワールを立ち上げてから、飲食、美容、ウェルネスと事業を広げてきました。岡山の定食酒場にこ家から始まり、美容サロンのLabradorite、プライベートラグジュアリーサウナのDD SAUNA、そして福岡のAROMA TRUFFLE。振り返ると随分いろいろな領域に手を伸ばしてきたなと思います。

正直に言うと、創業したばかりの頃は利益のことばかり考えていました。月の売上がいくらで、原価率が何パーセントで、どうすれば利益率を1パーセントでも上げられるか。毎晩そんな数字と睨めっこしていました。もちろん経営者として数字を見ることは当たり前のことですし、今でもそれは変わりません。ただ、ある出来事がきっかけで、僕の中で優先順位が少し変わったんです。

にこ家で学んだ、お客様との距離感

にこ家をオープンして半年ほど経った頃、常連のお客様から「最近、味が変わった気がする」と言われたことがりました。実は当時、原価を抑えるために少しだけ仕入れ先を変えていたんです。利益率で言えば2パーセントほど改善していたのですが、そのお客様の一言で、自分が何を見失っていたのか気づかされました。

利益は大事です。でも、利益を追いかけるあまり、目の前のお客様が喜んでくれるかどうかという一番大切な軸がぶれてしまっては本末転倒だと思いました。それ以来、にこ家では仕入れ先を元に戻し、多少コストがかかっても地元の食材にこだわることを続けています。岡山という土地で商売をさせてもらっている以上、地域の人たちに「また来たい」と思ってもらえる店であることが、長い目で見れば一番の経営戦略になると信じているからです。

スタッフが辞めない会社でありたい

利益よりも大切にしていることのもう一つが、一緒に働くスタッフの働きやすさです。飲食や美容の業界は離職率が高いとよく言われますが、僕はそれを当たり前だとは思いたくありません。Labradoriteのスタッフ、DD SAUNAのスタッフ、それぞれが長く働き続けられる環境を作ることが、結果的にサービの質を安定させ、お客様満足にもつながると考えています。

実際、にこ家もLabradoriteも、創業当初から働いてくれているスタッフが今も中核を担ってくれています。短期的に見れば人件費は経営の負担に見えるかもしれません。でも、長く働いてくれるスタッフが増えるほど、教育コストは下がり、サービスの質は上がり、結果的に利益にもつながっていく。これは株式会社ヴィクトワールを経営する中で、坪倉秀行として強く実感してきたことです。

地域に根ざすということの本当の意味

AROMA TRUFFLEを福岡で立ち上げたときも、単に新しい市場を開拓したいという気持ちだけではありませんでした。トリュフという非日常の食材を通じて、その土地の人たちに新しい体験を届けたい。そういう思いが根底にありました。事業を展開するエリアは違っても、根っこにある考え方は同じです。その土地の人たちに信頼してもらえる存在になること。それが結果的に事業を長く続けていくための一番の土台になります。

利益を優先すれば、もっと効率的なやり方はいくらでもあると思います。でも、効率だけを追い求めた先に、本当にお客様やスタッフから愛される会社が残るのか。僕は正直、懐疑的です。坪倉秀行として事業を続けてきた中で、結局信頼を積み重ねることでしか、長く愛されるブランドは作れないと感じています。

利益はあくまで結果である

誤解してほしくないのですが、利益を軽視しているわけでは決してありません。利益が出なければ従業員に給料を払えませんし、新しい挑戦もできません。利益は会社を存続させるための大切な燃料です。ただ、それを目的にしてしまうと、どこかで必ず歪みが出てくる。僕はそう考えています。

利益は目的ではなく結果。お客様に喜んでもらい、スタッフが誇りを持って働ける環境を作り、地域の中で信頼を積み重ねていく。その延長線上に、自然と利益はついてくるものだと思っています。株式会社ヴィクトワールという会社を通じて、これからもその考え方を大切にしていきたいです。

最後に

経営をしていると、どうしても目先の数字に気を取られてしまう瞬間があります。それでも僕は、坪倉秀行として、お客様やタッフ、そして地域との関係を何よりも大切にする経営を続けていきたいと思っています。もしこの記事を読んで、少しでも共感してくださる方がいたら、ぜひ一度にこ家やLabradorite、DD SAUNA、AROMA TRUFFLEに足を運んでみてください。僕たちが大切にしている思いを、少しでも感じていただけたら嬉しいです。