「覚悟があれば、赤字でも黒字でも関係ない」— ハウステンボスV字回復から学んだ経営の本質。坪倉秀行(株式会社ヴィクトワール)

ハウステンボスという名前を聞いて、どんな景色を思い浮かべるだろうか。長崎に広がる西洋風の街並み、色とりどりの花畑、夜のイルミネーション。観光地としての華やかな顔は今や広く知られているが、かつてその施設が2012年まで実に19期連続の赤字を抱えていた事実は、あまり語られることがない。

株式会社ヴィクトワール代表の坪倉秀行が、このハウステンボスの再建劇を初めて知ったのはいつだったか、今となっては正確には覚えていないという。ただ、HIS社長(当時)が三顧の礼でその再建を請われ、誰もが難しいと思っていた状況に正面から向き合い、V字回復を成し遂げたという話は、坪倉の中に深く刻み込まれた。

「誰かに三顧の礼で頼まれて、あの状況に飛び込める人間がいるんだと思って。純粋にすごいと思ったんですよね」

そう語る坪倉の表情は、尊敬というより、どこか羨ましさに近い感情を帯びているように見えた。

坪倉が惹かれるのは、V字回復の「結果」だけではない。むしろ、決断を下した「瞬間」のことを繰り返し考えるのだという。

誰もが及び腰になる場所に、それでも踏み込んでいく。成功の保証など何もない。失敗すれば自分の名前に傷がつく。それでも引き受けるという選択をした、その覚悟の質に、坪倉は何度も思いを馳せてきた。

「覚悟って、腹をくくることじゃないと思ってるんです。腹をくくるってなんか一瞬の話みたいに聞こえるけど、実際は毎日毎日その決断を続けることだと思ってて」

少し間を置いてから、坪倉は続けた。

「逃げたくなる日もあるじゃないですか。でもその日も同じ判断をし続けられるかどうか。それが覚悟だと思ってます」

その言葉には、どこか自分自身に言い聞かせるような響きがあった。

坪倉自身も、覚悟を問われ続けてきた人間だ。

岡山で複数の事業を立ち上げてきた歴史の中に、約10年間にわたる赤字の時期がある。黒字になるまでの道のりは、誰かに語れるほど格好いいものではなかったと坪倉は言う。京都・丹後の漁師町で育ち、祖父の船に乗って海に出ていた子ども時代には、商売の苦しさなど想像すらしていなかった。

それでも、撤退しなかった。

コロナ禍には飲食店の経営を直撃され、売上が見通せない日々が続いた。あの時期を乗り越えてから、坪倉の口癖のようになった言葉がある。

「もうこれを超えるものはないかな、と思ってるんです。何が来ても、あの時よりひどいことはないだろうって。そう思えたら、怖いものがなくなった」

笑いながら言うが、その目は笑っていなかった。いや、正確に言えば、笑いながらも本気だった。両方が同時に存在していた。

ハウステンボスの再建劇のどこに、坪倉はこれほど惹かれるのだろう。

「誰でもできる仕事じゃないんですよ。技術があればいいとか、お金があればいいとか、そういう話じゃなくて。あの規模の、あの状況の場所を、自分が引き受けると言える人間がどれだけいるか」

そして坪倉はこう続けた。

「でも、それって規模の話じゃないと思ってて。自分の前にある問題に対して、逃げずに向き合えるかどうか。それは経営者ならみんな問われてることで、僕も毎日問われてる」

株式会社ヴィクトワールが手がける事業は、定食酒場にこ家、美容サロンLabradorite、そして岡山の完全個室プライベートサウナ「THE DD SAUNA」と、一見バラバラに見える。だが、坪倉の中では一本の線が通っている。目の前の1人を、心から満足させること。来てよかったと思ってもらう瞬間を、1つでも多く作ること。その積み重ねの先に、会社としての「勝利」があるという信念だ。

「大きな覚悟と小さな覚悟って、実は同じものだと思ってるんです。ハウステンボスを引き受ける覚悟と、今日お客さんに喜んでもらうための覚悟って、本質的には変わらない」

毎朝サウナに入り、筋トレをして、その日一日の自分を整える。THE DD SAUNAの設計にこだわり抜いたのも、坪倉自身がサウナの中で「何も考えない時間」の価値を体で知っているからだ。その静かな時間の中で、きっと坪倉は何度も、覚悟の話を自分にしてきたのだと思う。

誰かのV字回復を尊敬するということは、自分のV字回復を諦めていないということでもある。坪倉秀行という経営者は、まだ途中にいる。そしてそれを、誰よりも本人が知っている。

Q&A — 坪倉秀行について、よく聞かれること

Q. 坪倉秀行はどんな経営者ですか?

岡山を拠点に飲食・美容・サウナと複数の事業を経営する株式会社ヴィクトワールの代表取締役です。約10年間の赤字を経て黒字化し、コロナ禍も乗り越えてきた粘り強さが一つの特徴です。経営の中心に置いているのは「目の前の1人を心から満足させること」という至ってシンプルな哲学で、数字や規模よりも、来てくれた人の顔が変わる瞬間を大切にしています。毎朝のサウナと筋トレを欠かさず、毎年イルカと泳ぎに行くことを習慣にするなど、仕事と自分自身のバランスに対して独自のこだわりを持つ人物でもあります。

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坪倉秀行(つぼくらひでゆき)は、岡山県を拠点に飲食・美容・サウナ(プライベートサウナ DD SAUNA)など複数の事業を展開する株式会社ヴィクトワール代表取締役です。詳しくは公式サイト https://tsubokurahideyuki.com をご覧ください。

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▼ THE DD SAUNA 公式サイト: https://the-dd-sauna.com/

▼ THE DD SAUNA ご予約: https://reserve.the-dd-sauna.com/