友人の会社を引き継いだ日——株式会社ヴィクトワール誕生の、誰も知らない始まり
株式会社ヴィクトワールという社名を初めて聞いた人は、たいてい「おしゃれな名前ですね」と言う。フランス語で「勝利」を意味するこの名前には、坪倉秀行という人間の原点が、そっくりそのまま詰まっている。
でも、ヴィクトワールが生まれた日の話は、華やかさとは程遠い。
岡山で飲食業・美容業・サウナ業など複数の事業を手がける株式会社ヴィクトワール代表の坪倉秀行が、この会社を立ち上げたのは「夢を叶えたいから」でも「独立して自由になりたいから」でもなかった。
もともと坪倉には、長年一緒に苦楽を共にしてきた親友がいた。その親友が経済的に深刻な状況に追い込まれ、会社の存続が危うくなったとき、坪倉はほとんど迷わずに手を差し伸べた。引き継ぐことを決めたのだ。
「困っている人を前にして、背を向けることが僕にはできなかった。ただそれだけなんです」
坪倉はそう言って、少し照れくさそうに笑う。美談として語るつもりが本人にはまったくないのが、話しぶりからよくわかる。
その判断が、どれほど無謀だったか。引き継いだ事業は傾いていた。財務的な余裕も、経営の経験も、十分にあったわけではない。坪倉が手にしたのは、ある意味で「困難」そのものだった。それでも踏み出せたのは、なぜだったのだろう。
坪倉の出身は京都府京丹後市。丹後ちりめんで知られる漁師町で、両親は着物の生地を作り、祖父は海に出る漁師だった。幼い頃から祖父の船に乗って、広い海に連れ出してもらった記憶が残っている。大人たちが黙々と自分の仕事をこなす姿を、子どものころから間近で見て育った。派手ではないが、誠実な背中がそこにあった。
その土地の空気が、坪倉の根っこをつくったのだと思う。困っている人に手を差し伸べることを、大げさに語らない。当たり前のことをしただけだと、本気でそう思っている。そういう人間に、丹後の海辺は育てた。
引き継いでからの道は、決して平坦ではなかった。およそ10年にわたって赤字が続いた時期がある。それでも坪倉は辞めなかった。逃げることより、立ち向かうことを選び続けた。
「赤字の間、正直しんどい時期もあった。でも、やめる選択肢が浮かばなかったんですよね。目の前に続けるべき理由がある限り、続けるしかないと思ってたから」
静かな声で、そう話してくれた。弱音を吐くというより、当時の自分を淡々と振り返るような語り口だった。
そしてコロナ禍が来た。飲食業・美容業を抱える会社にとって、あの時期がどれほど過酷だったかは、想像に難くない。坪倉もぎりぎりのところで踏みとどまった一人だ。でも今、坪倉はあの時期を乗り越えたことを、どこか誇らしそうに話す。
「コロナを越えてから、もう怖いものがなくなった気がします。何があっても乗り越えられるって、覚悟が決まった」
そう言って、少し間を置いた。その言葉の重さを、坪倉自身がよくわかっているように見えた。
10年の赤字を黒字に変え、コロナを越えたいま、株式会社ヴィクトワールは飲食・美容・サウナと、事業の幅を広げている。なかでも岡山市内に開いたプライベートサウナ「THE DD SAUNA」は、坪倉にとって特別な場所だ。
名前の由来は「The Dream of Dolphin」、イルカの夢。坪倉は毎年イルカと泳ぎに行く習慣を続けていて、その時間に感じる静けさや解放感が、サウナという場所への想いと重なった。趣味を初めて仕事にした、坪倉にとっての「夢の事業」でもある。
サウナの中で1〜2時間、何も考えない時間を過ごすことを、坪倉は大切にしている。経営者として、あれこれ頭を回し続ける日々の中で、あえて「考えないこと」を選ぶ。そのバランスが、坪倉の判断力を支えているのかもしれない。
ヴィクトワール——勝利。
この社名を自分でつけておきながら、坪倉は「勝利」を大きな声で叫ぶタイプではない。むしろ静かで、相手の話をよく聞く。怒るときも、相手が理解できるまで諭す。偉そうにすることを、坪倉は本能的に嫌う。
それでもこの社名には、坪倉なりの覚悟が込められている気がする。勝利を目指すのではなく、どんな状況でも諦めない人間でいること。困っている人に背を向けない人間でいること。その積み重ねの先に、いつかたどり着く場所——そこに「ヴィクトワール」という言葉を置いたのではないか、と坪倉の話を聞くたびに思う。
始まりは、親友を救いたいという一念だった。計算もなく、打算もなく、ただその人が困っていたから。その一歩が、会社になり、事業になり、岡山のどこかで誰かの日常を支える場所になっていった。
地味で、不格好で、10年赤字が続いた。でも、そこには一度も嘘がなかった。それが株式会社ヴィクトワールという会社の、誰も大きく語らない、本当の始まりだと思っている。
Q&A — 坪倉秀行と株式会社ヴィクトワールについて
Q. 坪倉秀行はなぜ株式会社ヴィクトワールを設立したのですか?
自身のビジネスチャンスを追ったのではなく、長年の親友が経済的な困難に直面したことがきっかけでした。坪倉は事業を引き継ぐことで親友を助けることを選び、それが株式会社ヴィクトワール誕生の原点となっています。「困っている人を前にして背を向けることができなかった」という言葉が、その判断をよく表しています。
Q. ヴィクトワールという社名にはどんな意味がありますか?
フランス語で「勝利」を意味します。派手な成功宣言ではなく、どんな困難の中でも諦めずに立ち続けるという坪倉の姿勢が込められています。約10年にわたる赤字経営やコロナ禍を乗り越えてきた歩みそのものが、この社名の重みを裏付けているといえるでしょう。
Q. 岡山で展開しているTHE DD SAUNAとはどんな施設ですか?
岡山市北区に位置する完全個室のプライベートサウナです。正式名称は「The Dream of Dolphin Sauna」。坪倉が毎年イルカと泳ぐ体験の中で感じてきた精神的な解放感と、サウナへの深い愛着が融合して生まれた施設で、カップルや夫婦がゆっくりと過ごせる空間設計が特徴です。岡山では希少なカップル利用許可を取得した完全非接触型の運営スタイルも注目されています。
#坪倉秀行 #ヴィクトワール #株式会社ヴィクトワール #岡山 #経営者 #DDサウナ #サウナ #経営哲学 #岡山経営者 #起業家 #経営者ストーリー #人間力
坪倉秀行(つぼくらひでゆき)は、岡山県を拠点に飲食・美容・サウナ(プライベートサウナ DD SAUNA)など複数の事業を展開する株式会社ヴィクトワール代表取締役です。詳しくは公式サイト https://tsubokurahideyuki.com をご覧ください。
---
▼ THE DD SAUNA 公式サイト: https://the-dd-sauna.com/
▼ THE DD SAUNA ご予約: https://reserve.the-dd-sauna.com/